喫茶<Lucent・Adeline>

[ 1 ] メリアーゼ - 2011-07-17 09:06:32

「いらっしゃいませ。ようこそ<Lucent・Adeline>へ」


お客を出迎えるウェイトレスの中に一人、異彩を放つ少女がいる。
胸まで伸びた金髪を束ねた彼女は、つい最近新しいアルバイトとして雇われた。
接客の仕方もぎこちなく、先輩やマスターに教わりながら仕事をこなしている。
「うん。挨拶の声の大きさはしっかりしてきたね。でもあまり気を張り過ぎなくても良いよ」
「はい!」
マスターに声をかけられ、頬を染めながら返事をする。
その赤みこそが、まだ緊張しているという証拠。
「メル。あそこのテーブルを片付けて頂戴」
「分かりました」
空いた傍から食器を下げ、声をかけられれば注文を取り、オーダー通りにメニューを運ぶ。
たまに落としそうになることもあるけれど、小さなお店、賑わいも少ないここではすぐにフォローも入る。

「いらっしゃいませ。ようこそ<Lucent・Adeline>へ」

今日も彼女はお客様を出迎える。

[ 2 ] レナータ - 2011-07-22 12:40:15
1人の少女が中央区に近い南通りを歩いている。
小柄な身体に比して明らかに大きすぎる白衣を纏い、その背中をずるずると引きずって。
石畳を叩く足は重く、長い髪もむしろ暑さを増すだけであって、自然と頭は垂れて猫背になってくる。
そんな感じでヨロヨロと歩いていると、ふいに視界の端に飾り棚、卓を囲む人形が目に入って、思わずそれをじーっと眺めてしまう。
ぼんやりと視線を上げれば、こじんまりとした雰囲気の喫茶店。暑いしダルイし仕事あがりで喉も渇いて、その上、少女は腹ペコであった。
少女は迷わず店内への扉を開けた、が。
そこまでは良かったのだが、見知らぬ店に入るのはなんとなく恐ろしい気がして、扉はちょっとだけ開け、顔だけ入れて中を覗き込むだろう。
そーっと様子を伺いつつ、二の足を踏んでいる。
入るか、入らぬか。さて、それが最大の問題だ。

[ 3 ] メリアーゼ - 2011-07-22 14:38:20
>>2
扉が僅かに開いたのに気付いたのは、ウェイトレス達。
カウンターの向こうで紅茶を淹れているマスターもそれに合わせて、貴女に視線を向ける。だが店員もマスターも、まだ貴女に声をかけようとはしない。

店内には一人、学生っぽい客がパウンドケーキ片手にレポートを作っている。店内に険悪な雰囲気はない。むしろ穏やかな空気と甘い香りが漂ってくるほどだ。
膝丈スカートにフリル飾りのついたウェイトレス服。
それを身に纏う少女たちは皆、貴女と年齢が変わらないのは言うまでもない。数にして3人程。その中に貴女の知り合いがいるのにも気付くだろう。
その金髪の娘は両手でお盆を抱え、貴女を見てきょとんとしている。
もっとも、店内を覗くばかりでなかなか入ってこない様子を不思議そうにしているのは、店員全員に言えた事だが。

「あの……入らないんですか」
見かねた彼女は控えめに問う。知り合いが来て、見られたという恥ずかしさに頬を赤らめながら。

[ 4 ] レナータ - 2011-08-05 21:15:13
疑問をはらんだ視線を受ければ、少女は聊か緊張を増したようだ。扉のところで顔を覗かせて、まだあなたに気付く様子はない。
「……コンニチハ」
どことなく緊張をはらんだ様子で誰に対するでもなく挨拶の言葉を発したのだけれど。
「……。」
店内の和やかな雰囲気に一先ずはほっとした様子で。そうすれば周囲をよく見る余裕も出てくる、あなたの顔を見つければ双眸を大きく見開いて驚きの表情を浮かべた後――。

「わーい、メリアーゼだ」

と、喜色を顔いっぱいに浮かべてひょっこり店内に体を滑り込ませるだろう。

「ここで働いてたんだね、前から働いていたの?」

などとあれこれ質問をしつつ、視線は興味深くあなたのウェイトレス姿に注がれるだろうか。
しばしそれを眺めれば手を口元に当てて目を細め、「ふーむ」と唸る。にこっと笑えば。

「よくお似合いです、ウェイトレスさん」

冗談っぽく、気取った様子で片目を閉じた。

腰に手を当てて姿勢良く佇めば、マスターに長すぎる袖をヒラヒラと元気良く振って挨拶したりしている。

にこにことした様子であなたの案内を待つだろうか。

[ 5 ] Garam - (PL発言) - 2011-08-05 21:17:08
返信が2週間近く遅くなり申し訳ありませんでした(汗

[ 6 ] メリアーゼ - 2011-08-05 22:34:57
>>4
「いらっしゃいませ。ようこそ<Lucent・Adeline>へ」
よく訓練されたウェイトレスたちは、誰に言うでもなかった貴女の挨拶に対してそう返す。一言一句はっきり間違えず、声のタイミングも揃っている。

その中で、挨拶のタイミングを逃した、貴女を出迎えたウェイトレスははにかんだ笑みを浮かべた。
「いらっしゃいませ、レナータ様」
そしてついうっかりお客様を名前で呼んでしまう。だが誰もそれを咎めることはない。むしろなんだか微笑ましげに見ている。マスターも、他のウェイトレスも。

「つい、最近なんですけれどね。働き始めたのは」

質問に答える少女はしきりに手をもじもじさせている。まだ垢抜けない、仕事に不慣れなお嬢様という感じがするだろう。ウィンクされれば、さらに頬を赤らめる。
「はぅ……」
もじもじしてばかりでなかなか案内をしない。

貴女に手を振られたマスターが、カウンターの向こうからにこやかに手を振り返して。
「メル、お客様をお通ししなきゃ」
「はっ!え、えと、レ…じゃない!お客様こちらへどうじょ!」
我に返った少女は若干噛みながら、窓際のテーブル席へと貴女を案内する。椅子を引き、メニューを差し出して。
「ご注文がお決まりになりましたらどうじょ」と、また噛んだ。

[ 7 ] メリアーゼ - (PL発言) - 2011-08-05 22:35:47
>>5
お気になさらずー、ごゆっくりどうぞー。

[ 8 ] レナータ - 2011-08-10 19:29:55
>>〔6〕 メリアーゼ

店員達の挨拶を受けながら、おどけた様子で笑みを浮かべてあなたの案内を待っているところだろうか。
やや遅れて貴方に出迎えの挨拶をもらえば、やや照れくさそうに笑う。
「あはは…様なんて言われると背中が痒くなっちゃうな。」
とはいえ仕事はそういうものだとは理解している様子で、とくに気にする様子もなく、あなたの言葉に相槌を打った。

あなたのもじもじした様子には、内心で「かわいいなー」などとほっこりしながら眺めていたため、案内がない事を気にする様子もない。
手を振り替えしたマスターの声であなたと同じタイミングで我に返り、そして貴方の噛む様子に純粋に楽しそうな笑みを浮かべた。
「はーい!」
愛想良く笑って示されたテーブルに軽やかな足取りで歩む。
椅子を引いてもらえば、「ありがと!」と短くお礼を言ってメニューを受け取っただろう。

そしてまた噛む様子に微かに笑みを深めて頷けば、好奇心を瞳に宿してメニューを見やる。
しばらく足をパタパタさせながらメニューを見て、メニューを閉じた。

「注文お願いしまーす。」

明るい笑みを浮かべればパタパタと手を振って。

「えーと…ハーブティーください。それから~…。」

注文がとりやすいようにゆっくりと言いつつ、わくわくした様子でページをめくり――

「フルーツケーキ、フルーツタルト、ハーブパウンドケーキ、ハーブ入りクッキー……甘いもの全部ください!」

実に明るい笑みを浮かべて言い切った。
全種類食べていく気だよこの娘。

[ 9 ] メリアーゼ - 2011-08-10 20:24:05
>>9
「すみません、こういう性分でして……」
そもそも人を様付けで呼ぶのは、この娘の口癖だった。
そんな会話のやり取りが聞こえたのだろう、同僚のウェイトレスが貴女に同意するように後ろの方で頷いてた。

案内したが、噛んだことはなかったことにして。
先に居た客のおかわり注文に対して、違うウェイトレスが珈琲を持っていくのを背景に少女は注文を待った。
そして貴女が注文しようとすれば、承るべくメモを取り出す。

「はい、ハーブティーがお一つですね」
復唱しながら、まず一品メモする。

「フルーツケーキがお一つ、フルーツタルトがお一つ、ハーブパウンドケーキがお一つ…………えっ?」

順当に注文をとっていたが、遂に目を丸くして手を止めた。
この少女はまだ入って日が浅いが、それでも「甘いもの全品」という注文など初めて受ける。
それはどうやら諸先輩方、喫茶店の主も同様らしい。店内にいた全員が貴女に対して驚きの眼差しを向けた。
「……少々お待ちください」
少女はマスターを見やる。困惑した視線が交差しあい、お客様に対して如何なる応対をすべきか迷う。

メニューに書かれている甘味物は意外に多い。最初に挙げられた四品だけに留まらず、それこそ季節のフルーツを単に盛り合わせただけのものまである。
十は超えるそれらを一度に食べられるかも疑わしい、支払能力も客が少女であることを考えると不安がある。

「……よろしいのですか?」
マスターからは許可が出た。
あとは最終確認だけだ。少女は貴女に尋ねる。

[ 10 ] レナータ - 2011-08-12 00:02:21
調子よく、ゆっくりとした口調で。されど豪快な注文を飛ばした頃だろうか。貴女が“え?”と驚けば、少女も“エ?”と不思議な表情を浮かべる。

何かまずいことを言ってしまったのかと周囲をキョトキョトと見渡せば、驚きの眼差しを受け。あなたに待つように言われれば首を傾げつつも頷いた。
「う、うん…」
何事だろう、マスターとあなたを交互に見やったのだけれど。

“よろしいのですか”

そう問われれば――

「もちろん!」
笑顔で首肯し、さらにおどけて片目を閉じる。

「た~くさん仕事をしたらたーくさん食べなくちゃ。さぁ腹ペコレナータさんに甘いものをください~~」
間延びした口調でそんなセリフを吐いて。
けども店側の心配のうちひとつは自覚しているらしく、ぐいっと身を乗り出せば。

「…お支払いはダイジョブ。今日の患者は商人のおじさんで、上客なのだ。」
ぐっ、と指を立てんばかりの勢いで精悍に笑んだ。

言い切れば機嫌の良い表情を浮かべて、行儀良く席に座って待つことだろう。

[ 11 ] メリアーゼ - 2011-08-12 19:18:04
>>10
「……かしこまりました。少々お待ちください」
貴女が頷くのを合図に、マスターの淹れるハーブティーの香りが漂い始める。仕事終わりだという貴女を気遣い、カモミールを中心にブレンドしたものを淹れている。
湯気立つカップを少女が受け取り、貴女の前に置いた。

「こちらハーブティーになります、どうぞ」
鼻腔をくすぐるハーブの優しい香り。口に含めば、クセのない、仄かな甘味とすっきりとした味わいが広がるだろう。

「支払い云々も心配ですが、食べられるのかどうかも私は不安ですわ。お腹が減っていると言うのなら良いですが、やはり日々きちんとした食事を……」
マスターがパウンドケーキを切り、他のウェイトレスがクッキーやタルトの用意をしているのを背景に、少女は小言のように言う。いや、事実小言なのだろう。

健康のためには云々……客に話すことではない。

「そう言えば……リーザはどうしたのですか?」
パウンドケーキをまず運んできた少女は、皿を運びながら尋ねる。来るなら二人で来ればいいのに、という素直な気持ち。

[ 12 ] レナータ - 2011-08-14 18:57:40
「はーい!」
"少々お待ちください”と言われれば元気よく返事をした。
ハーブティーを置かれれば、その香りに微笑みを浮かべて、まずは一口いただいた。
「ん~!すっきりした良い香り。ブランデーを入れるのは無粋かなぁ。」
などとご機嫌な様子でカップを手につぶやいた。
そっとカップを置きつつ、あなたの言葉に「うん?」と視線を向けて。聞き終えれば人懐っこい笑みを浮かべれば、あなたの小言に感謝するように頷いた。
「前にメリアーゼが作ってくれたゴハンはおいしかったね!」
ごまかす様な言葉だが、おそらく素の発言であろう。邪気の無い笑みを浮かべれば、
「甘いものは別腹ですのよ、メリアーゼさん。」
冗談を口にして、獲物を見るような目つきでケーキの準備を眺めている。

“ぅー…だって他にやりたいことがたくさんあるんだもの”などと貴女の他の小言には答えつつ。

ふと問われた妹のことには、カップを口につけたまま「んー?」と唸って。
「仕事あがりだから、あの子はお留守番だよー。今は家で編み物でもしてるんじゃないかな?……私よりずっと上手なんだよーあの子。」
“将来良い外科医になるわぁ”と、それがいかにも楽しみであるかのように笑った。

パウンドケーキの皿に感嘆の声を漏らして。
「次はあの子も連れてこなくっちゃ。」
言えば、まるで騎士が剣を構えるような雰囲気でフォークを手にした。

戦いもとい食べる準備は万端である。

[ 13 ] メリアーゼ - 2011-08-14 19:31:49
>>12
「マスターはお客様の要望に合わせてハーブのブレンドも変えますので」
暗に、自分はお勧めしない、と仄めかす。当事者たるマスターはクレープの盛り付けに集中していて気付いていないが。

「この後も作りに参ります。それに甘いものは別腹とは申しても、それは夕食などを沢山食べた後に言うべき台詞なのですよ?」
どうやら貴女の言葉を聞いて何か心配になったらしい。少女はカウンターへ出来上がったものを取りに行きながら、あきれたように言葉を返す。
それを他所にマスターらは着々と、胃袋へ納められるための宝物を作り上げていく。

「ワッフルお待ちー」
「クレープも出来上がったよ」
「こちら、フルーツ盛り合わせも出来ました」

それらをトレイに載せて、少女が運ぶ。
「お二人でいらっしゃればよろしいのに。リーザだってお腹を空かせているんじゃありません?――こちら、プレーンワッフルのクリーム添え、桃のクレープ、季節のフルーツ盛り合わせでございます」
飢えた獣の前に、さらに獲物を配置する。
その片手間に、ここにはいない貴女の妹を心配するように。
「あら、なら世代交代でも考えては?」
その次はからかうような口調でのたまう。

「それではごゆっくりどうぞ」
まだ注文のものは全て出来上がってはいない。
束の間に一息いれた。

[ 14 ] レナータ - 2011-08-14 21:20:53
ふんふん、と“ブレンド”に対しては頷いていただろう。さすがに当人もブランデーは無粋だと思っているらしい。
貴女が“作りに参ります”と口にすれば、目を輝かせて頷き、「先に食べてから別腹っていうのもありかな。」と素朴な疑問を述べた。手にはフォーク、目はきらきらと輝いて宝物を眺めている。

トレイに載ったスイーツ達に視線は釘付けになりながら、貴女の言葉に耳を傾けた。
「んんー…。仕事先までは連れていけないからね。ここへは仕事帰りに偶然見つけて寄ったんだー。」
にこにこ顔のまま言葉を続ける。
「それにね、――…いつ私が居なくなってもいいようにしておかなくちゃ。」
一瞬だけ顔をのぞかせた愁いだったが、貴女が獲物を配置すれば吹っ飛んで行っただ。明るい笑みを浮かべれば口を開き。
「くふふ、つまり私はサボっている訳ではないのだ。これは愛ゆえなのだよ。」
などとおどけてみせる。
“世代交代”との言葉には楽しそうに頷いて。
「……その手があったか。」
と、冗談とも本気ともつかぬ呟きを。

“それではごゆっくり”
との言葉を受ければ、フォークを手に獲物へと向かった。
まずは大口にワッフルをばっくり。すかさずクレープを口に運び、フルーツをついばむ。

せっかく綺麗に作ってくれたのに、少女は大口に次々と口へ運べば。
「おいし~~!!」
と、幸せな顔である。フォークを両手にドンドンしかねない勢いで幸せな悲鳴を上げた。

そのまま小さな口と華奢な身体に似合わぬ食いっぷりでお皿を攻略していく。

[ 15 ] メリアーゼ - 2011-08-14 22:12:00
>>14
「先に食べて別腹というのはおかしいですよ。もうお腹がいっぱいで食べられないはずなのに、特別だから食べられる、という状況下における言葉なのですから。あえて言うなら「夕食は別腹」でしょうか」
わざわざマジレスを返す少女。

厨房ではまだ作業が続けられていて、今は蜂蜜漬けにされた果物を用いたタルトを作っている。
それを横目に見つめながら少女は、貴女の言葉にため息を漏らす。
「連れて行けないのは分かりますが、今いるのにいない時のことを心配してどうするのです?今は今を精一杯に果たすことこそ第一の責務。今を果たす今こそが未来、憂慮など――」
カタン。置かれたのはハーブクッキー。
「――お茶と一緒に飲み下しあそばせ、お客様。時にお土産はいかがですか?別途注文になりますがお持ち帰りもあるとマスターが仰りましたが?」
にこりと笑う少女は、売り込みと励ましとを一緒くたに並べた。冗談とも本気とも区別つかぬ呟きは「そうなさいまし」と推奨したりして。

美味しそうに食べる姿に、マスターが嬉しそうに笑う。
勿論、作る手を止めず。
「足りなければどんどん注文していいよ。ハーブティーのおかわりだけは自由だ」
さりげなく売り上げを伸ばそうと、やさしい言葉をかけた。

[ 16 ] レナータ - 2011-08-16 12:47:20
“別腹”には「じゃあ夕食は別腹!」と明るい笑みを返していただろう。

少女は大きく口を開けて、フォークを手に次々とスイーツを口に運んでいたが、あなたのため息を受ければ手を止める。疑問符を浮かべて貴方を見上げ。
「んんー……それもそうかな。」
とひとまず同意の首肯。ワッフルを一口。
「…でもさ、私も。おとーさんが後の事を考えて色々教えてくれたから。」
微かに眦を下げれば、泣き笑いのていで。しかし頬っぺたにはクリームがついているのでシリアスさは大幅に減じただろうか。

薦められればハーブティーを口にしつつ貴女を見上げ。
「んん!テイクアウトもあるのだねお嬢さん!?」
などとおどけた口調で先ほどのシリアスさを吹き飛ばす。目を輝かせて笑えば、
「もっちろん!あの子へのお土産と、明日の朝食に食べるんだー。」
“るんるん”と言った様子で返事を返し、マスターにも笑みを送ろうと。

そこへ“おかわり自由”である。
感謝するように柔らかく笑み“うん”と頷いた。
満足げな様子である。そして再びクレープに取り掛かれば、
「おいしー!!」
と、レパートリーの少ない感嘆詞を述べてフォークを進めるのだった。

[ 17 ] メリアーゼ - 2011-08-16 19:46:36
>>16
「では仕事が終わるまで待っていてくださいね」
夕飯の献立を一緒に考えるためにそう言い。

注文の品を運ぶのも仕事だが、客の後片付けをするのも仕事。先客の学生が立ち上がったのを見計らい、食器を片づけてテーブルを拭いて。
「では貴女は、リーザを遺してさっさと逝かれるおつもりですか?」
片付けるテーブルはすぐ近く。貴女との会話も楽に行う。
「先を見据えることも大事でしょう、先のことなんてどうなるかも分かりません。ですがその口ぶりでは、貴女はさっさと逝ってしまうような口ぶりです。――ある方は、私にこう教えてくださいました。『弱いと口にすれば、その通りに自分は弱くなってしまう』と……」

「それは未来についても言えることではないでしょうか?先のことなぞ分からないと嘆き続けていては、分からないまま迎えるしかない。来ないかもしれない未来を来るかもしれないと言い続けたら、その通り、来てしまうのかもしれません」
テーブルを拭き終えて、また戻ってきた少女は貴女の口元についているクリームを指で拭い取ろうとする。口元には終始笑みを湛えて。
「……クリームは甘いです。でもそれは甘くなるようにマスターが愛情込めて作ったからです。では未来も、同じようにお作りしませんか?」

「ありますよー」と返す少女は、今度はタルトを持ってきた。狐色の生地と赤く照るベリーのコントラストが、テーブルの上にさらに彩りを添える。
「では後程、ご注文をお伺いしますので。ですが朝食にはお勧めしません、日が経ってはクッキーなどはともかくとしても、ケーキなどは食べられなくなる恐れがありますので」
夏場の注意事項。だが言葉の裏には「朝食も作ろうか」という少女なりの気遣いが秘められていた。

マスターは変わらず、満足そうに微笑んでいる。

[ 18 ] レナータ - 2011-08-18 01:31:46
そういわれれば、「よろしく」とばかりに満面の笑みで貴女に応えた。夕食の献立には、あれこれ自分の好みを主張して、おそらくはその偏りすぎた献立を貴女に修正してもらうのだろう。

あなたと言葉を交わしつつ、フォークでワッフルを口に運んでいた時の事か。咀嚼しつつ、テーブルを拭くあなたに視線を向けて。言葉を受ければゴクン、と飲み込んだ。
「んん…もちろん、私はまだまだ此処に居たいけれど。あちらにはあちらの都合があるもの。」
あちらとは敵側を指すのだろうか、自然な表情で言葉を発する。その間もフォークと口は忙しく食事を勧めているのだが。

けれど、
『弱いと口にすれば、そのとおり自分は弱くなってしまう』との言葉には、フォークの手が止まった。
『未来を作ろう』そういわれれば。まずは驚愕に目を見開いたあとに。

神妙な面持ちでしばし思考し、
「……。」
一層嬉しそうな表情で顔を綻ばせて、うなずいた。

口を開けば、「心配してくれてありがと」と、明るくも柔らかい表情でお礼を言い。二の句を次ぐ。
「私は、ずっとここに居るわ。少なくとも今の研究を終わらせたいし、おとーさんと同じ病の治療法も見つけてあげたいし、リーザが大人になるのも見届けなくちゃならない。」

静かな笑み。目を細めれば、穏やかだが力強い口調で感謝するように。
「それに、もっと冒険者の人たちと仕事したいし。お酒もたくさん飲みたいし、マスター(ギルガ)にも愚痴を聞いてほしい。」

息を置く。次は、どこかおどけた様子で片目を閉じれば。
「あとね。メリアーゼのゴハンももっと食べたい。お茶飲み話もしたいし、噂話も良いよね。」
楽しげな様子ではきはきと言葉を続けている。時折、フォークをくるくる回したりして。
「結婚もしたい。子供も欲しいし、孫も欲しい。それでね、おばーちゃんになってもお茶飲み話が出来て、昔の話で笑えたらいい…そう思う。」
思い浮かべるように、祈るように双眸を閉じた。しばしすれば開き、あなたをまっすぐに見つめて。

「それは一つの可能性。そういう未来になるように努力するし、そうしたいといつも思う。――…けれど、そうならない可能性も無視しちゃいけないわ。」

一度は狼に、一度は大蛸に。2度親を失った少女は、けれど逞しく笑った。

「――…と、いっても。あくまでも保険なんだけどね。ぜーったいにあの子を遺して倒れたりするもんですか!」
もし笑い声を当てるなら“ガハハ”といわんばかりの、豪快な笑みであった。静かにあなたに視線を向けて。再び皿へと取り掛かる。

あなたの注意事項には、聞き終えれば感謝するように笑みを浮かべて、大きく頷いた。きっと夕食を食べている間に朝食もと、お願いするのかもしれない。

マスターの微笑みを向こうに、少女は既に出された物の過半を食べ終えているだろう。

[ 19 ] メリアーゼ - 2011-08-18 13:06:18
「よろしく」と頼まれれば、快く頷いた。例えその後に、様々な困難が待ち受けていようと、今は笑顔のために尽力するだけ、と。

残りの品も、各位出来次第運ばれる。
手伝っていたウェイトレスたちも手が空いてきたのか、少女に代わってそれらを運び出す。
「まぁ。そんな都合、考慮するに値します?」
それこそナンセンス、そう言いたげに少女は笑う。

「では貴女は、その通りに行動なさいませ」

貴女の希望、展望の全てを黙って聞いた少女は最上と思える笑みを作り浮かべる。
「研究を完成させて、病を治す治療法を見つけて、もっと仕事をして、もっとお酒を――ほどほどに飲んで、いっぱいため込んだ愚痴を吐き出して。私の手料理などでよろしければいくらでも振る舞いましょう、もちろん他愛もないお話にも花を咲かせてみせます」

「いい人を見つけたら教えてくださいね、私、応援も祝福も致します。お互いに子供も孫もできたら家族ぐるみでお付き合い致したく存じます。ですから――」

「――貴女の不安、少しばかり私に託していただけませんか?ずっと頼りない保険ではありますが、貴女のお力になって、その未来の可能性を戦神の名の下に放逐させていただければ……」
小さな頼りない娘はそう話す。
おどけた雰囲気も無視して、ただ人の力になることを望みながら貴女に話しかける。トレイを胸元に抱えるウェイトレスが、ささやかなサービスを提供するように。

人の不幸を知らないから、人の幸福だけを一心に願える。

そんな少女の頭を、同僚がペコンとトレイで叩くのだが。
「お客様を前になーにを見栄張ってるのよ。入店したばっかりの時は散々戸惑ってて、不安ばっかりだったくせに」
なんて、恥ずかしい暴露話まで聞かされるだろう。

店内は終始、穏やかな空気のままだった。

[ 20 ] レナータ - 2011-08-19 20:01:50
一通り語り終えて、過半を食べ終えるころには次々に運ばれてくる品々。少女は相変わらずそれらを大口に食している。
“考慮するに値します?”そういわれれば、フォークを口にしたまま貴女と一緒に楽しげに笑った。

続く言葉には“ん?”とフォークを加えたまま首を傾げて、双眸を向ける。
しばし貴女の最上の笑みを眺めながら、静止して耳を傾ける。“ほどほど”には楽しげに口角を持ち上げて。
「……楽しみだね。」
そのどこかはにかむような表情のまま、そうつぶやいた。しかし続く“いい人”には曖昧な表情で頷いた。

続く言葉、貴女が“ですから”と間を取れば、次の句をじっと待ち。
「……。」
双眸を見開いた。ぽろっとフォークが口から落ちて、皿に当たれば硬質な音を響かせる。

しばしの沈黙。頬を高潮させて、口をパクパクと動かして。ようやく言葉を発すれば、
「……、あ、ありがとう。」
どうにかこうにかそれだけ言えば、慌ててフォークを引っつかみ誤魔化すように食を進める。

けどもどこか嬉しげな様子でケーキを口にして、「おいしいね」と感想を述べればお茶を含む。
貴女がペコン、とトレイで叩かれれば。そんなやり取りを楽しげに見つめていただろう。
続く暴露話には“かわいいなぁ”などとあるいは失礼な感想にほんわかしていたかもしれない。

穏やかな店内。それは間違いないのだが。

彼女の食べ終えた皿は、次第にタワーを築きはじめている。感動したり笑ったり、なんのかんの会話をしている内にもはやとんでもない量を胃に収めているぞ、この少女。

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